コンテンツにスキップ

構造で育てる思考:日次の振り返りから成長を加速する実践ログ


☑️ 本記事の立ち位置

これは「構造で育てる思考シリーズ」の一環です

実際に日次振り返りテンプレートを運用したログを使い、「思考の見え方」がどのように変化し、成長につながったかを示します

※本記事中に登場する「PRリンク」などは、実際の社内開発環境に基づくものであり、一般公開できないためリンク表記を省略しています


📊 X日目:詳細実践ログ

【今日やったこと】

  • ドメインの単体テストのカバレッジ向上のため80%を目標に実装
  • 比較的スコープが小さいモジュールを対象とし、テストを追加
  • AI Agentを使った実装支援も試した
  • PRレビュー
  • 各種PRリンク

【その選択理由】

  • モジュールのスコープが小さいためキャッチアップに最適と考えた
  • PRレビューに関しては、AIの解答待ちの空き時間等に行えると判断して実施した

【気づき・学び・ずれ感】

  • タスクに取り掛かる前に、事前にTipsなどの情報や他のPRでのレビュー内容を整理し、プロンプト化した
  • 基本的にそのプロンプトをもとにステップごとにAI Agentに作業指示を行い、待ち時間にレビューを行った
  • AI Agentに指示を行う場合はタスクを小分けにし、はじめに方針を提示し、その方針を軸に進めていくといいかもしれない
  • ある機能についての質問の回答が、コードや設計ドキュメントを確認していなかったため不完全なものになってしまった
  • 回答する中で、自分自身が曖昧な表現を使いがちだと感じたことで確認が必要だったと気づいた
  • 質問された際にあらかじめコードや設計ドキュメントを再確認し、よりしっかりとした回答をすべきだった

【判断・動き方の内省】

  • タスク優先度評価やレビュー時間の配分は良かった
  • 開発方針mtgで課題点やスプリントと優先度について指摘や意見をすることができた
  • しかし、意見をいうだけというパターンも多かった
  • 問題の指摘だけではなく、具体的なアクション案やそのトレードオフ、および決定事項の明確化とアクション案の実践を率先してやれるようにする必要がある
  • 視座を高めるとは、課題のスコープを広げること、そして自分自身がその課題に対してより良い行動や解決に近づけているかどうか、という考えを指針にしたい

【明日やること&準備】

  • まずはレビュー優先
  • 次に取るタスクの準備
  • 複数のAI Agentの実地評価と比較

🔗 X日目 メンターからのフィードバック

小スコープのタスクを選択し、キャッチアップスピードを意識したこと、また待ち時間を最大限活用してレビューを実施したことは非常に良い判断でした。
知的活動では、余裕を持って動けるかどうかが成果の質に直結しますので。

この手の「余裕を作り出すための工夫」は、実装タスク以外(サポート業務、エラー対応、研修など)にも転用できると、仕事の幅がスケールします。
ぜひ「別種類のタスクにも同じ発想が使えるか?」を自分なりに考えてみてください。

さらに、うまくいった発想・思考は「名前付け」してログに残すと、思考の型として使い回せるようになります。
これが増えていくと、自己成長もチームへの還元も格段に楽になります。

ただ、一気に頑張りすぎると消耗するので、ゆるゆる続けるくらいのスタンスでOKです。


📊 Y日目:詳細実践ログ

【今日やったこと】

  • PRの再レビューを最優先
  • 各種PRリンク
  • 開発
  • 各種PRリンク
  • 朝会のファシリテーション

【その選択理由】

  • PRを確認したところ、改善ポイントが明確であったためレビュー優先度を上げた
  • すでに十分議論されている場合は、他に見落としがないかを確認することをメインにした

【気づき・学び・ずれ感】

  • マネジメント能力のインプット不足を自覚
  • スクラム開発をやったことはあってもスクラムを回す側になったことはない
  • 開発のライフサイクルを主導する経験をどう積むべきか?
  • AI駆動開発でもAI Agentに対する要望と実際のアウトプットの一致度を高めることが極めて重要
  • AIは賢いが、全ては任せず人力で補正する判断をすべきケースもある
    • 指示が難しい場合はある程度人間がコードを実装し、それを軸にするなど
    • プロンプトしっかりと定めたとしても、その実現方法は無数にあるため、こちらからも案を示し、トレードオフをもとにしっかりとした方向性を定める方が良いと思った
    • これはマネジメントにも似ているかもしれない
    • 自身の想定するチームのアウトプットに近づけるにはどのようなインプットをすべきかという点で
  • これらの知見を組織に共有した方がいいと感じた
    • 組織の平均が上がると思うため

【判断・動き方の内省】

  • 自身が今後取り組むべき課題の方向性が見えてきた
  • 時間の使い方、リソース配分がうまくできていない
  • AIに全てを任せない考えに至るまでの試行錯誤に時間を費やしてしまった
    • おそらく、没にしたアウトプットでもレビューはある程度通っただろうが、それでいいの?という気持ちがあった
  • 朝会のファシリなどのマネジメント能力への課題
  • マネジメントに関しては、まずはエンジニアとしての考え方やさまざまなフレームワークを知るなどのインプットを行う必要がありそう
  • タイムマネジメントという観点で、時間の使い方、リソース配分についても応用できそう
  • 引き続き、視座を高めるとは、課題のスコープを広げること、そして自分自身がその課題に対してより良い行動や解決に近づけているかどうか、という考えを指針にしたい

【明日やること&準備】

  • PRマージ、リリース完了を目指す
  • 提出物の用意

🔗 Y日目 メンターからのフィードバック

十分議論されたPRについて、指摘の見落とし確認にシフトした判断は良い選択でした。
すべてにリソース全振りは不可能なので、「どこにどれだけ時間をかけるか?」の意識は今後ますます重要になります。

マネジメントが苦手だと自覚し、それを学ぶ対象だと認識できたことも非常に良いです。
これは、自律的な成長意識(自己の課題発見 → 解決志向)の表れです。

AI活用の知見を再現性あるものにして、他者に共有するという意識も素晴らしい。
個人でできることには限界があり、チーム全体の底上げを狙う思考は、長期的に見て非常に価値があります。

加えて

  • 知見共有の最適な方法(仕組み化、対話、ドキュメント化など)
  • かける労力と効果のバランスを考慮する発想

これらも今後さらに磨けると良いでしょう。

また、AI活用における「どこまで任せ、どこから人間が介入するか」のトレードオフ判断は、設計者的な思考の発露です。
こうした思考を言語化し「型」として持っておくと、今後類似事例に即応できるため、強い武器になります。

そして、思考の型は他者に展開可能な資産にもなります。
たとえば『クリーンアーキテクチャ』のような思想系書籍は、個人の思考を型に昇華して他者に渡した好例です。

型を蓄積していく作業は地味ですが、やれば確実に力になります。
どんどん型を増やしていきましょう。


🌐 系列連携